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【お題小説】浴衣姿のパートさん(13ページ完結)
第1章 【夏風邪】
「こんばんは」


立花さんは挨拶しましたがボクは身を乗り出してドアから首だけを伸ばします


アパートの廊下には立花さん以外誰もいません


サトル君も娘さんも居ないようです


「ど、ど、どうしましたか……」


ボクは焦ってついどもってしまいました



「入っていい?」


そう言うと返事も訊かずに立花さんはボクの部屋に入ってきました


ワンルームのアパートなので玄関の奥が短い廊下兼台所です

流しの中に洗い物が溜まっているのを見て立花さんはふぅっ、とため息をついていました


廊下の突き当たりの部屋の扉を開けるとそこがボクの部屋です
ワンルームなのでここまでです


「あー!涼しいっ♪」


立花さんは笑顔になりました



ボクは今のうちにテーブルの上の食べたあとの食器を片付けていきました


とりあえず流しに入れといて、あとで洗います


先に冷蔵庫から冷たい麦茶をグラスに入れて部屋に戻ります



「ありがと」


立花さんは一気に飲み干してしまったので、もういちど冷蔵庫に戻って注ぎなおしてきます



「ジロウくん、神社の横に住んでたのね
 知らなかったわ」



そうでしょうね


知りながら、ボクんちの茂みに入ってくるわけない



ボクが返事に困っていると立花さんのほうが続けて話してきました



「覗きは良くないわよ」



「よく言いますよ、勝手に盛り上がってたのはそっちじゃないですか」


ボクもムッとして言い返しました


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