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何度タイムリープしても……初恋の幼馴染は誰かに純潔を奪われる
第12章 智樹の初体験ー姫ー
しかし姫はすぐに柔らかい微笑みを見せて、智樹の髪をそっと撫でた。

「ふふっ、ありがとうね、智樹くん……でも、どこか遠くを見てる気がするのは、気のせいなのかな~?」

智樹はその問いにドキッとして、視線を泳がせた。
そんな様子を姫は見逃さない。

「姫だから許してあげるけど、他の女の子の事を考えて、名前を間違って呼んだりしたら、すぐに嫌われちゃうから気を付けないとねっ?」

図星だった。
姫に触れている瞬間ですら、頭の片隅には心結の笑顔が浮かび上がり、どうしても完全に姫に向き合いきれない自分がいるのだ。

「……僕……まだ恋愛経験がほとんどなくて、人を愛するって意味をよく理解できてないのかも知れないです……」

なんとか姫を誤魔化そうとしてみるが、姫の目は少し寂しそうにこちらを見ていた。

「そんなことないよ、智樹くんは、ちゃんと姫に優しくしてくれてるよ?
ん~?辛いことがあったら、何でも相談してね?姫はお姉さんだから、甘えてもいいんだからねっ?」

姫は手を伸ばして智樹の頭を包み込むようにそっと引き寄せて、胸元で抱き締めてくれた。
その優しい仕草に智樹は少しだけホッとし、思わず目を閉じて姫の温もりを感じる。

「お姫様……」

智樹は小さく呟いたが、心の奥では姫ではない、心結の姿が重なってしまう。

姫は智樹の温もりに安らぎを感じながらも、意識が他に向いている表情に気づいているようだった。

それでも姫は何も言わず、ただ智樹の背中を優しく撫で続けてくれていた。
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