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第19章 極秘の撮影現場

心結は不安そうな表情を浮かべながら、ひとみを見つめた。

「濡れ場のシーンって、普通はただの演技よ。でも、彼の場合……何ていうか、相手の女優をその気にさせる天才らしいの。カメラの前での仕草や、さりげない触れ方、目線……それが全部リアルに感じられる。だからね、シーンが終わる頃には、心も体も龍一さんに落ちてるって噂……」

ひとみは鏡越しに心結を見て、意味深に微笑んだ。

「私も噂程度にしか聞いたことないけど……まぁ、気をつけなさいってことね……」

心結はその言葉にますます緊張し、身を縮めた。

「でも、嫌がった私が言うのもあれだけど、あなたにとってはチャンスよ。監督も社長もあんたに期待してる。失敗しなければ、きっと次のオファーも来るはずだから」

ひとみはそう言い残し、控え室を出て行った。

鏡に写る自分を見つめ直し、心結は深く息を吸った。

怖い……でも……

これを乗り越えなきゃ、私……

自らを奮い立たせるように小さく頷きながら、バスロープを、羽織って控え室を出た。

そして自分の覚悟が試される撮影現場に到着すると、龍一やスタッフの前で頭を下げる心結。

「よろしくお願いしますっ」