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何度タイムリープしても……初恋の幼馴染は誰かに純潔を奪われる
第20章 映画の試写会

これ以上、誰にも見てほしくない……
そんな心結の気持ちは、会場の誰にも伝わることはない。
智樹は横で黙り込んだまま、ただスクリーンを睨むように見つめていた。
隣に座る涼が小さく息を呑んだ気配が伝わる。
「……心結ちゃん、このシーン、すごくリアルだね。演技とは思えないくらい……」
涼が小声で話しかけてくる。
その声に心結はハッと我に返ったような表情で、思わず視線を涼に向けたが、すぐに俯いた。
「……あれは……ただの演技……だよ……」
心結の声は震えていた。
それが涼にどれだけ伝わったのか分からない。
ただ、心結が動揺しているのは明らかだった。
智樹は口を開かなかったが、視線だけは鋭く心結を捉えている。
何かを言いたそうな雰囲気だけが伝わり、その沈黙が逆に心結の胸を苦しめていた。

