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私立メス犬調教学園
第9章 先輩の崇拝者
「ビックリしましたか、御木下さん。緑山先輩は、マゾ女としても、大変素質がある方なんですよ、副部長の僕の目から見ても、ね」
 リョウがゆきのリードをぐいっと引くと、ゆきは小さく、あぁっん、と、切ない喘ぎ声を漏らした。
「……本当は緑山先輩にサインしてもらいたかったんですが、さすがに今はダメですよね」
 御木下は文芸部の部誌を手にしている。後ろ手に縛られている今のゆきには、それは無理な相談だ。
「ところで……、僕も、メス犬調教部に入部することは、できないでしょうか……」
 御木下があらたまって、思い詰めたような表情で言った。
「僕は緑山先輩の作品が大好きで、先輩を”崇拝している”と言ってもいいかもしれません。ですから、何かお手伝いができるといいのですが……」
「御木下さんは、性癖としてはノーマルなんですか?それとも、SかMの性癖をお持ちでしょうか?」
 リョウが、学生服姿の御木下をジロジロながめ回しながら聞いた。
「Sでは……、ないです。でも、Mには興味があります。もちろん、谷崎文学などのマゾ小説も大好きですし……、それに……、実は僕の両親は、SMホテルを経営していまして……。『ホテル**』って、ご存知でしょうか」
 ホテル**は都内でも有名な、SMプレイ専門のラブホテルだ。
「ホテル**の後継ぎさんなんですねっ!」
 真理子が驚いたように口にした。
「えぇ、まぁ……。ですので、全く未知な世界、というわけでは、ないんです……」
「分かりました。どうでしょうね……。メス犬調教部の部員は、基本的に、メス犬部員になってくれるドMな女子しか募集してないんですが……。ただ、SMホテルにつながりができる、という事なら、考えてみてもいいかもしれません。例えば部活のマネージャー、兼、雑用係、みたいな感じで」
「ぜひ、お願いしますっ。両親にも紹介しますし」
 御木下は真剣な声で言った。
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