この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
お題小説 カレイドスコープ
第1章 kaleidoscope
 10
 
 そして皆と別れ、夜になって少し涼しくなった夜道を歩いて帰宅していく。

 だが心の中はザワザワと、そしてドキドキと…
 騒めきと昂ぶりを感じていた。

 それは思いもしなかったこのプチ同窓会での…
 青春の甘酸っぱい思いの全てといえる存在であった元彼女の村上茉優との偶然の再会のせいといえる。

 もうとうの昔にとっくにそんなあの頃の淡い想い、思い出なんて忘れていた…
 いや無理矢理に消去し、心の奥底の一番の深みの中にしまい込んだ筈だった。

 だが今夜の再会により…
 その閉じた筈の心のフタが、いとも簡単に開いてしまったのである。

 さっきの茉優のあの目の…
『覚えてるの?』
 確かに俺の心にはそう聞こえてきた。

 覚えてるの?…

 覚えている…
 それはあの日、あの時、あの『神社』で…
 あの『神社』の社の裏に鎮座している推定樹齢500年以上の御神木である『大銀杏』の大木の下での…
 あの13歳、中学1年生の時の、あの日の、あの刻。

 ………すごい綺麗ね…
 あの刻に茉優は、俺が持参してきた『万華鏡』を覗きながらそう囁いてきた。

 ばあちゃんの『万華鏡』の話しをしたら茉優が見たいと言ったので、急ぎ家に戻り、借りて持ってきたのだ。

 そう、あの頃は、あの時は、あの刻は…

『なぁ、一緒に夏祭りに行かないか?』
 俺は勇気を振り絞り、そう茉優を誘うと…
『うん…いい、行く…』
 それがきっかけで付き合い始めた。

 その『夏祭り』からの夏休み…
 2人共通の部活であるバスケ部の練習後には『夏祭り』広場のこの『氏神神社』の社の裏の、この『大銀杏』の下のベンチでほぼ毎日待ち合わせをし、夕方遅くまでデートを、いや、まだあの頃はただ、毎日話しをするだけではあったのだが、過ごしていた。

 そして、あの日、あの刻…

『うわぁ、キレイ…
 まるで迷宮の中に迷い込んでいくみたいだわぁ…
 うんそうよ、そう、迷宮よ、まるで鏡の中の不思議な世界へ迷い込んでいくみたい…』

 そうあの日のその刻に俺は…
『万華鏡』を覗きながらそんな感動の言葉を漏らしていた茉優の手を掴み…
『え、あ…』
 思わず抱き寄せ、抱き締め、キスを、ファーストキスをした。
 
 そしてそれから2人にとって、その大銀杏の下のベンチは特別な場所となった…

 きっかけは『万華鏡』…




/28ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ