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girlslove
第4章 【爪痕】

そして決定打だったのがせりさん来店時
あれだけ気をつけようとしてたのに顔に出てたみたい
せりさんを見る目が誰よりも違った
毎日連絡はしてるけど、少し会えてない時間があったから、抑えて接客したつもりが全然抑えられてなかったらしい
今回は、毛先を整えて表面シルバーで中がブルーのアンブレラカラー
コテで巻いて束感と動きを出す
ピアスを着けながら「ありがとう」って言ってくれる
フロントでスケジュール見つつ次の予約
全ての立ち振る舞いがオーラ全開で
もうこれは仕方ないよ、見惚れちゃうもんなの
後輩ちゃんも目がハートだもん
笑顔を向けるのは私だけじゃない
すぐ傍に居る後輩ちゃんにも、目が合った他のスタッフにも会釈して出て行く
私だけがお店の外までお見送りするんだけど
勿論イチャイチャは出来ないからもどかしい
「ぷはっ、そんな顔しないの」
「だ、だって……せりさんまた可愛くしちゃったもん、ナンパとかされないように気をつけてくださいね?」
「碧唯が毎回綺麗に施術してくれるからでしょ?このままスタジオ直行だから割と近いし大丈夫」
分かってないよ、せりさんがどれだけの美貌の持ち主かって事
バイバイするのが最近、本当に辛い……
戻らなきゃ、なのに……
「碧唯、ちょっと遅くなるけど会う?」
「え、会う!」
「でもちょっと夜道が心配だから、後で住所送るからタクシー使ってスタジオ来て?」
「うん……嬉しい」
「碧唯、ダメ、その顔は……抱き締めたくなるから外では禁止ね?」
顔を半分隠しながら言うせりさんに私も真っ赤になる
「はい……」
ぎこちない感じで別れたけど心は満たされている
私の為に時間を割いてくれた
せりさんにもちゃんと休んで欲しいけど
今は満たされたい
せりさんが足りないんです……

