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第1章 【一目惚れ】

「大丈夫？ぶつけてない？」


「は、はい……」


ニッコリ笑って起こしてくれた
恥ずかしい……穴があったら入りたい
何か、助けられてばかりじゃない？
尋常じゃないくらいドキドキしてる
その気持を掻き消すかのようにスマホでお店の予約状況をチェックした



「リタッチなら、今週の木曜日か、来週なら…」


ヤバい、彼女の視線に捕まってしまった
あ……動けない、吸い込まれそう
何でこんなに真っ直ぐ見てくるの


「リタッチだけならすぐ終わっちゃうし、また染めようかな」


「え…？」


「碧唯の好きな色に染めてよ」


碧唯色に染めてよ、と勘違いしちゃいそう
どれだけ頭の中、お花畑なのよ、私……
でも、この距離感、このセリフは危険です
ダメ、いくら長い間彼氏居ないからって……


うわ、髪の毛触ってきた
耳に掛けられて身体が固まる


「また耳まで真っ赤……ｸｽｯ」


「あの、もしかして私、口説かれてます？」


さっきのお返し、押されてばっかじゃダメだと思った
おっ…と一瞬だけ面食らって頭ポンポンとかやっぱり一枚上手です


「口説いた方が良いの？」


「いや、あの、えっと……」


反撃したくせにその後の事は考えてなくて更にテンパる
近い……近いです
肩抱かれてる!!


「ほら、私、悪い人だったよ？どうする？」


「ぇ…？」


待って、この展開はアツい!!
いや、ヤバい!!
こんな近づいたらドキドキが伝わっちゃう
目を逸らしたら顔ごと向けられて「逸らさないの」って


え………？するの？
待って、ダメです
私たち、女同士
そんなの、漫画やドラマの世界でしょ？
実際なんて、ないよ


えっ？えっ？えっ？


くるの？