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girlslove
第4章 【爪痕】
両耳をせりさんに塞いでもらったから大丈夫だったけど、頭上から「大事な人だから」って聞こえた気がする
周りの声が凄くて掻き消されてたが、そう紹介してもらえて嬉しくて顔が熱い……
せりさんは堂々としてる
それも魅力のひとつだ
軸がしっかりしてるから私はそれについていくので精一杯
私ももっと自信が持てたら良いのにな……
生徒さんたちともお別れして、せりさんと2人きり
「いつもあんな感じで教えてるんですね、和気あいあいしてて皆凄く楽しそうでした」
「今日は結構揃ってたかな?もっと少ない日もあるけど」
「せりさん、凄く格好良かった……」
「そう?碧唯に言われるのが一番嬉しい」
屈託のない笑顔を向けてくれてキュンとする
電車を乗り継ぎ、またコンビニ寄って、手を繋いで帰って行く
ただそれだけで幸せな気持ちになるんだよ
だから凄いの、せりさんって
さっきまでは皆のせりさんだったけど、
今は私だけのなの
見上げてると「ん?」って目で会話してくれるの好き
何でもない、何だよー?ってくだりも好きで
せりさんと過ごす一分一秒が私にとっては心のオアシスなんです
「あ、今日は散らかってるかも?引かないでね?」
鍵を開ける前にそんな事を言ってきて可愛い
ドアを開けて入ると、またキスされちゃうのかな?って一瞬身構えたのに電気を着けてリビングを片付け出した
「あっ、碧唯、手洗いのタオル…」
ハイ、と手渡されて、本当にちょっと散らかってたから慌てて片してたけど、違う、そうじゃない
背後からせりさんの服の裾を引っ張るの
振り向いたら畳んだ洗濯物を両手いっぱい抱えてた
「ごめん、今すぐ片付けるから」
「そうじゃなくて……」
「ん…?」
目で訴えても、都合良く伝わらないか