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女性のための犯され短編集
第11章 家庭教師先の生徒に犯される
今日はクーラーが壊れているらしかった。
今日にかぎって…と思わずにはいられない灼熱の真っ昼間。
今にも空気が爆発しそうなくらい暑いのに、爆発する素振りを見せずにじっとりと床を這う重たい空気。
せめてと思い窓を開けているけれど、外からなだれ込むセミの声は容赦なく、かえって暑さが増した気もする。
そんな部屋で彼女は家庭教師のアルバイトをしていた。
「……ねぇ?」
「……なに?センセ」
「君の視線が痒(カユ)い……」
採点中の彼女は手を止めず、隣の彼にそう告げた。
彼のほうを見ているわけじゃない。けれど向けられるこの視線だけは、不思議と感じ取れてしまうのだ。
それはどれだけ逃げたくても逃げられない夏の暑さのように、無視しようにも無視できない視線だった。