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女性のための犯され短編集
第11章 家庭教師先の生徒に犯される

「かゆい?何それ?」

「なんだか首の後ろがムズムズするからっ……そんなにじっと見ないでほしいの。今日も最後に小テストするんだし、それの勉強してて?」

「メンドクサイ」

「……」

 彼女を困らせて楽しんでいるに違いない。

 思えば……今日クーラーが壊れたという話だって、本当のところはどうなんだろうか。

 もし本当ならリビングを使うなりの対処ができた筈だった。どうせ彼の唯一の肉親である父親はいま仕事で不在なのだし。

 けれど教え子の彼は当然のようにこの自室へ彼女を迎え入れた後、「ちなみにクーラー壊れてるから」とケロリと言い放ったのだ。

 使うことを許されたのは小さめの扇風機だけ。

 それが今、二人の背中に頼りない風を届けている。

「ねぇ、あのさ、センセの首」

「ん、なに……?」

「蚊が止まってる」

「え…!どこ?」

「なーんちゃって、嘘」

「な……!」

「ごめんごめん。だって痒いとか言い出すから、つい。センセって普段はトロいのにたまには俊敏な動きもできるんだね」

「あまり、ふざけないでね……っ」

 控えめに注意するだけで精一杯の彼女は、結局強く言い返せられないから、大人しく採点を続ける。


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