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女性のための犯され短編集
第16章 巫女は鬼に犯される(2)

 屋敷の暗闇に閉じ込められた巫女姫は、あれから幾日も鬼の執拗な愛撫と妖気の侵食に晒されていた。

 彼女の身体は熱に浮かされ、霊力は徐々に薄れつつあったが、心の奥底にはまだ微かな抵抗の炎が灯っていた。

 鬼の黄金色の瞳に見つめられ、絡みつくような甘い言葉を囁かれるたび、彼女は己を保つために必死に祈りを捧げていたのだ。

(わたしは巫女……神に仕える者。このような穢れに支配されるわけにはいかない)

 しかし、その祈りも虚しく、鬼の手が彼女の肌を這うたびに身体は裏切り者のように反応してしまう。快楽の波に飲み込まれそうになるたび、彼女は唇を噛み、涙を流して耐えしのんだ。



 そしてある夜

 鬼が眠りに落ちた隙を見計らい、巫女は決意を固めた。

 屋敷の奥に隠されていた壊れた錫杖(シャクジョウ)の欠片を手に握り、裸足のまま部屋を抜け出した。

 暗闇の中、足音を殺しながら長い廊下を進み、戸の隙間から外の冷たい風を感じた瞬間、彼女の胸にほんの僅かな希望が灯る。

(ここから、逃げなければ……!)

 戸を押し開けると、冷たい夜気が彼女の肌を刺した。


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