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女性のための犯され短編集
第3章 深夜の泥棒に犯される


 ──


 その泥棒が彼女の部屋から持ち出したのは、バッグにあった財布のひとつだけだったようだ。

 学生が持っている金目の物なんて、しかも、こんな安アパートに住んでいる人間の持ち物なんて、たかが知れている。

 スマホを持ち去ったのは、すぐに通報されるのをふせぐためなんだろうか…。どちらかと言うと、財布よりスマホが失くなるほうが迷惑だ。

 翌日、クレジットや銀行のカードを新しく作り替えるついでに、泥棒のことを警察に届け出る。

 被害届を出して、アパートで現場検証して、その日は大学にも行けなかった。


「何か他に危害は加えられませんでしたか?」


 現場検証を終えて、イケメンの警察官さんが、最後にそう聞いてくる。

 彼女は答えた。





「──…はい。

 ずっと、眠ったふりをしていたので」











(終)




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