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女性のための犯され短編集
第8章 幽霊アパートで犯される
東京の賃貸がここまで高いなんてのは、予想できていなかった。
キレイなデザイナーズマンションに、お気に入りの家具を置いて、始まる楽しい新生活。
…そんなものは、夢のまた夢だったと思い知る。
奨学金をかりながらの苦学生にとって、手が届くのはせいぜい6畳ワンルーム、築45年の木賃アパートだ。
大学からあまり遠くならないようにとここを選んだのは自分だが、やっぱりどこから見てもボロアパートだな…と、帰宅した彼女は後悔する。
「あ、おかんなさい」
「あ、ただいまです」
夜の10時。うーんと外観を見て彼女が立っていると、同じアパートの住人であるお兄さんがベランダから声をかけてきた。
彼女が借りているのが2階の部屋。
お兄さんがいるちょうど上の部屋である。
「引越しの片付けは終わったん?」
「あはは…じつはまだ完了してないんです」
「なら今度手伝ったげる」
「本当ですかっ?」
ライターの仕事をしているというお兄さんは在宅ワークが多く、ベランダでタバコを吸っているところによくはち会う。そのうち仲良くなった、ボロアパートのゆいいつの恩恵、お兄さん。
話せたおかげで少し心が弾んだ。
バイト終わりで疲れた彼女は、まだ引越しのダンボールで散らかった部屋のすみに布団を敷いて、その日もさっさと眠りについた。
──けれど彼女は
今日もある異変のせいで目を覚ました。
金縛りだ。