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異世界転生したら王子に溺愛されて困っています·͜· ♡
第5章 中身が違う人間と、離縁を申し込みましたが···
(どう、話を切り出そうかしらね···)
これを言ったら、最悪不敬罪で断罪されてしまうかも知れないと思うと、私は無意識に羽毛布団をギュッと握っていた。
「···殿下?」
そこに、殿下の手がそっと乗せられて、温かい手の平から温もりが伝わって来る。
「こんなに手を震わせて、無理をして話す必要がある事なのかい?それに君はまだ病み上がりだ。落ち着いてからでも良いんじゃないかな?」
「···、ありがとうございます。ですが、お願いです。どうか聞いてください」
「わかった。ブランシュにとって、大切な事なんだね?」
「はい」
「わかった。それじゃあ、話してみて」
殿下の言葉に、私は静かに頷いて全てを話す事にした。
「それでは、···単刀直入にお伝えします。私は、"ブランシュ"ではありません。外見はブランシュさんですが、中身は別の世界で生活していた、ただの社会人です。名前は井上 ともえと申します」
「井上 ともえ···、社会人···?」
「はい。ここより、遥かに科学が発達した世界に住んでおりました」
「···」
「···。こんな事を殿下にお伝えする事は、まことに心苦しい事なのですが。どうか、お願い致します。私・と離縁しては頂けませんでしょうか···?」
「···!」
殿下の息が詰まるような喉の音が聞こえて、焦燥感が走る。
「妃教育を受けられたブランシュさんでしたら、きっと立派に務め上げられるでしょうけれど、この世界に例えれば、立場的には平民のような物です。ですから···婚約破棄を···殿下?」