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異世界転生したら王子に溺愛されて困っています·͜· ♡
第8章 妃教育(再)
額に滲んだ汗が顎を伝い落ちる。
「1・2・3・1・2・3···そこでターン!足は軽やかに。ふわりと優雅に、ドレスの裾が広がるイメージを持って、華麗にターンを心掛けて!つま先を使って、さん、はい!髪の毛からドレスの裾まで体の一部だと思って、手先までしっかり意識しなさい」
「はい!」
先生の手拍子に合わせて、エア社交ダンスの練習をしていた。エアと言うのは、私1人が踊っているからである。パートナーがいると見せかけて、左肘を上げて、右腕は相手の肩に手を置いている様にあげて意識して背筋を伸ばす。
ダンスの練習を、朝から日が暮れるまで休憩を挟んで続けていた。
何でそんなにハードな練習をしているかと言えば、1週間後に控えた王室の婚約披露パーティーが行われるからである。
ちなみに、今日1日ダンスの練習をしているのは、不安な要素が1番大きいから。
ブランシュは小さな頃からの教育により踊れていたかも知れないが、産まれてこの方社交ダンスなど踊った事がないからだ。
「はい、そこまで!」
「はい!はぁ、はぁ···ふぅー···」
乱れた呼吸を整えながら、私は額の汗を手の甲で拭った。先生の授業はスパルタだけれど、ここ数日で形にはなって来ている。
ちなみに、午前中は学問、午後はダンスの練習に割り振ってもらいました。
肩で息をして、手の甲で汗を拭っていると、閃光の様な視線が···。
先生がわざとらしく「コホン」と咳払い。
そこで私はようやく気がついた。
「···、失礼致しました」