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異世界転生したら王子に溺愛されて困っています·͜· ♡
第1章 プロローグ。
水の入った桶を床に盛大に落とし、大きな目には見る見る内に涙が溜まりやがて崩壊した。口元に両手を当て、肩がわなわなと震えている。
「ブ···ブ、ブランシュ様ぁ~!!」
「···へっ!?」
メイドなんて初めて見たものだから、呑気な事を考えていれば、ボブカットの超がつくほどの美少女メイドが、私の横たわるベッドへと号泣しながら駆け寄って来る。
「ブランシュ様!!やぁっっっとお目覚めに!···あぁ。感激している場合では無いわ!殿下をお呼びしなければ!それに宮廷医に、ブランシュ様のお兄様!」
(···んんん?···、ブランシュって、もしかして私か?私なの?)
「あ、あの···。少し、落ち着いては?」
(ん?、あ、あれ?そう言えば、よく聞いたらこの声って私の声じゃない!?)
一体何が起こっているのやら。
メイドに落ち着けと言った手前ソワソワ出来るはずも無く、ただただ笑顔を顔に貼り付けた。
「ブランシュ様ぁ···。お目覚めになられたばかりだといらっしゃいますのに···。私のご心配して下さるなど···待っていてください!直ちにお呼び致しますので···!」
(え────···)
恐らく、私(この体)の侍女であろうメイドはそそくさと落とした桶と水を片付け言葉をかける暇すら無いままに部屋を出て行ってしまった。
「仕事早っ···。じゃなくて···」
豪華な装飾品の置かれる部屋に、天蓋付きのベッド。オマケにふっくらした枕に羽毛布団。ちなみに私が着ているのはネグリジェだ。
て事はよ···もしかして、もしかしなくとも私はどうやら、今巷で流行りの異世界転生をしてしまったらしい···。(可能性として)
(···殿下の婚約者(?)と言うことは、私は悪役令嬢なのかしら···確率的に)