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異世界転生したら王子に溺愛されて困っています·͜· ♡
第2章 口移しとキスは全くの別物だと思いたい
コンコンコン。
「どうぞ」
返事をしたものの、この仕方であっているかしらと不安になる。なんせ、私はただの一般市民なので···不安だ。ただ目が覚めただけだと言うのに、もう胃が痛くなりそう。
数回のノック音の後、スラリと背の高い濃紺の髪に濃い紫の瞳のやたら顔の整った青年を筆頭に、白衣を来た宮廷医(多分)に続き、これまた顔の整った青年が入って来た。
続いて、私を見るや否や泣き出してしまった超絶可愛いメイドの女の子。
私の顔の横には最初に入って来た青年が立ち、私のベッドを囲むようにして皆が立っている。
「心配したよ。ようやく、目が覚めたんだね」
「殿下···」
(あ、この人がこの体の持ち主の婚約者の王太子様なんだ···え、ちょっと待って!)
スラリと喉から出て来た言葉を口にすれば、殿下が私に向かってスっと手を伸ばして来たけれど、あまり男性とろくな付き合いをした事が無い私はビクッ、と無意識に肩を震わせてしまった。
(あ···やっちまった───!!)
王太子様と言えば、目を少し見開いた後、そっと手を引いた。私は焦りまくって背中に冷や汗ダラダラだ。どうしよう···婚約破棄の4文字が脳ミソの80%を締めている。
「すまない。驚かせたね」
「ぁ、その···ごめんなさい。少し、驚いてしまって」