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異世界転生したら王子に溺愛されて困っています·͜· ♡
第2章 口移しとキスは全くの別物だと思いたい
兄は私の"お兄様"呼びに余程感動したのか、シルクっぽいハンカチで目元を押さえていた。流石貴族、所作の一つ一つが綺麗だわ。
「ん?···昔、の?」
あぁ。これは、昔は仲が良かったけれど、成長していくにつれて話さなくなるか、仲が悪くなったパターンなのかな。この体の持ち主の"ブランシュ"には余計なお世話かもしれなかったわね。
「ブランシュは小さかったから覚えてないかも知れないが、昔は僕の後を追いかけて来る子だったのだよ。それはもう、ひよこのように可愛らしく···」
(ひよこ···?)
「···はあ」
さいですか。
お兄様は、どうやらシスコンだったようです。
「で、お前の話はいつまで続くんだ、レイ。そろそろブランシュに薬を飲ませたい。体が痛いはずだから」
「おっと、そうですね。これは失礼致しました。殿下」
「ブランシュ。さぁ、これを···あぁ、そうか。今はまだ動けそうにないんだったな···。ブランシュ、口を開けて?」
「ぇ、は、はい···~~~!!?」
殿下に言われた瞬間口を開ければ、殿下が錠剤を口に含み、私の唇を塞いだ。
「ふっ、ん、ん、っ···!はぁっ」
顎先を指先で囚われ、殿下の舌がグイグイと絡める様に錠剤を私の喉奥まで運べば、私はごくんと喉を鳴らして錠剤を飲み込んだ。
「···はぁっ。飲んだな」
···、何でそんなにポーカフェイスなの。
「で、ででで···」
「で?···さっきのはただの口移し、だよ。ブランシュ」
もう、顔が熱くて熱くて火が出そう。