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禁断の果実
第2章 転校生
ここまで話を聞いていて私は本当に不思議に感じていた。
自分の彼女の母親と寝たのは自分の母親に対しての当てつけ以外に考えられなかった。
この小さな小競り合いはやがて大きくなっていった。
始めはちょっとした乱闘だったが、やがてそれは大乱闘にまで発展してゆく。
ひとりの男子生徒がどこからともなく、ナイフを持ち出してきたのだ。
そのナイフを響に振り回してゆく。
響はそのナイフを見ると身の危険を感じずにはいられなかった。
自分はこの場で殺されるかもしれないと思ったに違いない。
大勢の男子生徒に囲まれながら響はそのナイフを持った男子生徒から身をよけた。
でも、執拗にその男子生徒はナイフで響を切りつけようとするのだった。
何度目かで響はその男子生徒からナイフを取り上げた。
取り上げる時に、ちょっとした拍子にその男子生徒の腕にナイフの先が触れてしまった。
その腕から真っ赤な血が流れ床に滴り落ちてゆくのが見えた。
それを見ると遠巻きにしていた生徒から悲鳴に似た声が聞こえてくる。
それを聞いた職員たちが何事かと思い教室まで入って来て事の次第を知った様だった。
響は相手の男子生徒に怪我をさせてしまった。
その傷は縫うほどの傷ではなかったが、救急車を呼ぶ程の騒ぎとなってしまった。
学校側もこの騒ぎを警察沙汰にはしたくない様だった。
そこで学校側と響の父、浩史とが話し合い浩史から学校側にこんな要望が出された。
「この度は、息子が大変な事をしてしまい、大変申し訳ありません。怪我をした生徒さんとその親御さんには私から謝罪の連絡を入れます。そして息子響は他校へ転校させますので、この度の件は警察沙汰にはしないで頂きたい…」
要は、この出来事を表沙汰にはしないで欲しいと浩史は言っている様だった。
浩史は裏から手を回し、怪我をした生徒と両親に口止めの金を渡したのだ。