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禁断の果実
第1章 プロローグ
古い絵画を見ていると遠い記憶をたどる旅に出たような気がする。
そんな記憶をたどる旅に出るのが私は好きだ。

私は、某高校で美術教師をしている。
私の父、和彦も学校は違うが某高校で同じく美術教師をしている。

母、咲恵は普通の専業主婦だ。
私は、父の描く絵がとても好きだ。

父が描く絵のペンタッチはどことなくゴッホに似ていた。
力強くもあるがどことなく繊細な筆遣いだった。

そんな父が描く絵を私は愛してやまなかった。
幼い頃から私は父の描く絵を見て来た。

その影響もあり、私は美術教師になる為に勉強し、大学へと進んだ。
そして、教師になったのだ。

何故、教師になったのだろう。
画家になっても良かったのだ。

でも、画家で食べて行けるかどうかは分からなかった。
美術教師が好きだからだろうか。

学生と一緒に学びたかったのかも知れない。
私は古い絵画を見たくて美術館へと時間があれば訪れている。

今日も国立西洋美術館に来ている。
ここの美術館に展示されている絵画は主に“ルーベンス”や“コロー”に“ミレー”、睡蓮で有名な“モネ”や“ルノワール”や“ゴーギャン”などが展示されている。

特にモネの睡蓮はとても大きなキャンバスに描かれていてその青い水面に浮かぶ睡蓮の美しさは素晴らしいものだと私は感じていた。

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