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禁断の果実
第3章 美術館
「前澤くん、これからちょっとデートしないかな?」
「え?先生とデート?」
「そうよ、今日は付き合って頂戴…」
私はそう言うと珈琲のカップを両手で包み込み笑ったのだった。
響がちょっと不安そうな顔でこう言ってくる。
「デートってどこに行くのさ?」
「ウィンドショッピングにランチでも一緒にどう?奢るわよ…」
私はちょっといたずらっぽく笑って見せる。
それを見た響は少しだけ明るくなった様に見えた。
「でも、先生は彼氏がいるじゃん?いいのかよ…」
「自分の教え子とデートよ…文句は言わせないわ…」
私は尚も微笑みながらそう言ったのだ。
この美術館で偶然、響と会ったのも何かの縁かも知れないと私は思っていた。
この時の私は心の底からこの少年の悩み苦しみを何とかしてやりたいと思っていた。
それが、例え一瞬の出来事でも構わなかった。
その悩み苦しみを忘れさせてあげたかったのだ。
自分の力ではどうする事も出来ないかも知れない。
でも、どんなに小さな出来事でも人は少しでも安らげるのだ。
その安らげる状況を作ってやりたかった。
私たちは渋谷に出てお互いにふざけ合いウィンドショッピングを愉しんだのだ。
ランチはつばめグリルに行き、デミグラスソースのハンバーグを堪能した。
その後、私たちはゲームセンターに行き、コインゲームやユーフォーキャッチャーなどをして時間の経つのも忘れて遊んでいたのだった。