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禁断の果実
第1章 プロローグ
「そう、ありがとう…」
「瑠唯は料理が上手いからな…それだけでも早く家に帰りたくなるよ…」
「あ、余り、褒めないで、は、恥ずかしくなるわ…」
私は少し顔を赤らめて優一郎の顔を上目遣いで見ていた。
そうすると、優一郎はとても嬉しそうに笑うのだ。
優一郎はロールパンを手に取るとシチューにパンを浸して食べている。
この食べ方が優一郎は好きなのだ。
こんな日々が2年程続いていた。
とても平凡で、とても何事もない、平穏無事な日々だった。
それは、本当にある意味幸せな事だと思う。
私は、大好きな父と母に育てられ、こうして今優一郎と一緒にいる。
平凡でも構わない。
贅沢も言わない。
こうして愉しく食事ができる事がとても幸せだったのだ。
私の人生はとても順調に思えた。
だが、それはちょっと違っていたのだ。
前澤響と出会うまでは。
響と出会ってしまったが為に私の人生は大きく狂ってゆくのだった。
でも、それは響のせいではない。
それは、私の運命だったのかも知れなかった。