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禁断の果実
第5章 婚約者
そんな声がインターホン越に聞こえて来た。
私は慌ててドアチェーンを外した。
ドアを開けると満面の笑みを浮かべた響が立っていたのだ。
「前澤くん、どうしたの?こんな時間に?」
「え?先生だってどうしたんだよ、学校にも来てないしさ…」
響は私が学校を何日も休んでいる事を知っていたのだ。
それは、響がちゃんと学校に行っていたという証拠かも知れなかった。
私は玄関先で立ち話も体裁が悪いと思い響にこう言ったのだ。
「玄関先で話すのはイヤだから、部屋に入ってくれない?」
「いいのか?入っても?」
「構わないわよ、さ、入って…」
「お邪魔しまーす…」
そう言うと響は玄関から部屋に入って来た。
響は部屋に入るなりこう言う。
「先生、その後は大丈夫なのか?」
「え、ええ、何とか大丈夫よ…」
私は何故だか分からないが響からこう言われると心が和み穏やかになれるのだった。
響が心配してくれている。
そう思うだけでも気持ちが穏やかになれるのだった。
自分でも何故なのかは理解できなかったのだが。
ソファーに座る響を見て私はこう話した。
「前澤くん、珈琲でも飲む?」
「うん、飲むよ…」