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禁断の果実
第8章 告白
「俺さ、初めて先生と美術館で出会った時から好きだった…」
私はこの告白を聞いて心が騒めいた。
同じ時にお互いを思い始めていたのではないか。
しかし、私と響は教師と生徒なのだ。
恋愛関係になってはならないと思った。
だが、私の心は響を求めて止まなかった。
私は迷いながらもこう返事をしてしまう。
「私も、前澤くんのことが好きよ…」
「え?それは、生徒として?それとも…」
響は生徒として私が好きだと言ったのだと思っている様だった。
それは、違っていたのだ。
「違うわ…」
「じゃ、どう好きなのさ…」
私はこの時自分はただの女になっていると思った。
教師ではなく女になっていたのだ。
「前澤くんを、ひとりの男性として好きなのよ…」
「え?本当に?」
「ええ、そうよ…」
響はちょっと驚いている様にも見えた。
でも、お互いの気持ちがこれでハッキリと分かったのだ。
私は嬉しい気持ちと不安とが入り乱れていた。
私たちはただ黙ってお互いを見つめ合っていた。
部室には夕方5時を知らせるチャイムが緩やかに響いていた。