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禁断の果実
第8章 告白
「俺、先生を守れなかった…」
私はそれを聞くと何も言えなくなった。
決してあの出来事は響の責任ではない。
でも、響はその責任は自分にあるかのように言っているのだ。
「それは、前澤くんのせいではないわ…」
「俺さ、先生の事が心配でならないんだ…」
私は心配してくれていると思うと内心とても嬉しかった。
「ありがとう、私、嬉しいわ…」
私もゴッホの星月夜の絵の様な力強さが欲しかった。
だが、今でもあの事件が時々フラッシュバックの様に私に襲い掛かる。
今は精神科で貰っている薬で何とかなっているのだが、薬がないと不安を感じてしまうのだ。
そんな事を響は知らない。
気が付くと部室には他の生徒が見当たらなかった。
今まで部室にいた数人の生徒たちは、皆どこかへ行ってしまった様だった。
きっと飲み物でも買いに出掛けたのかも知れなかった。
そんな二人切りになった部室で響がこう言ってくる。
「俺さ、高岡先生のことが好きなんだ…」
「え?」
私はこの言葉を聞いて自分の耳を疑った。
この生徒は何を言っているのだろ。
私は返す言葉が見つからなかった。
尚も、響はこう言ってくるのだ。