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禁断の果実
第12章 辞職
「退職届は今週中に提出しますので、お願い致します…」
「高岡先生、待ちたまえ…落ち着いて考えて欲しい…」
「私の気持ちは変わりません…」
そう言い残すと私は校長室を出て行った。
優一郎の思惑は呆気なくこうして崩れてゆくのだった。
校長はかなり残念に思っていたようだが、これ以上噂が広がり問題が大きくなるよりは良いと思ったらしい。
校長はトラブルを起こしたくなかったのだ。
私は部室に戻ると身辺整理を行った。
私物を全て纏めると手提げの紙袋へと入れてゆく。
生徒と別れるのはちょっとだけ辛かったが仕方がないと思っていた。
職員室へ行くと同じように私物を紙袋へと入れてゆく。
その様子を校長は見ていたのだ。
校長はこの顛末を優一郎に電話で伝えた様だった。
優一郎は自分の思惑が外れたことを悔しく感じていた。
私は優一郎にLINEで別れを告げるメールを書いて送ったのだ。
もう、やり直せない所まで来てしまった。
だが、優一郎は私を諦める事は出来ないと言ってきたのだ。
優一郎の私への思いは日に日に募ってゆくのだった。
私は響とこれから先、暮らして行きたいと思い始めていた。
でも、教師と生徒の恋愛など世間は認めてはくれない。
それでも、私は響と一緒にいたいと思っていたのだ。