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雨が好き
第30章 朝日
蒼人さんが起床にはまだ早いかな、と呟く。
「外、見てみますか?」

ゆっくり起き上がると、水槽もなんだか静かだ。
回遊魚も動きが遅くて、流れに身を任せているよう。
お魚も眠っているのかもしれない。

二人で連れ立って、昨日お月さまを見たところに行く。

東の空が、ほんのりと明るくなっていた。

「夜明け前でしたね」
「日が昇ります」

自然と手が絡み合い、
私達は手を繋いでいた。

見ている間に、
水平線の彼方が一点眩しく光ると、
世界に光が溢れ出した。

「朝日・・・初めてちゃんと見たかも・・・」
「そう?・・・今度、山の朝日も見ますか?」

蒼人さんは職場でお泊りの時、よく見るそうだ。
また、一緒にお泊り・・・を?

そう思うと、若干顔が赤くなりそうだが、
蒼人さんはそれほど深い意味で言ってるわけではないようだった。

なので、私もコクリと、頷くだけにした。
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