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雨が好き
第34章 待合室
多分、このときの私の顔色は相当悪かったのだろう。
高岡さんが慌てて言い添えた。
「あ、いや、何か悪いことが・・・っていうわけじゃないみたいだからさ」

でも、その後が続かなかった。
彼らも、事情をよく聞かされていないからだ。

また、勝手に湧き出てくる嫌なイメージ。
蒼人さんが、消えてしまう。

胸の奥、身体の底から冷たくて黒い水が溢れてくる。
言葉が・・・出なかった。
どんな、顔をしているのかも、わからなかった。

「みなと、一旦、座ろう」
お父さんの言葉に促され、私はふらふらと冷たく黒い革の椅子に座り込んだ。

まだ、開院前の病院の待合室は、暗くて、とても、しんとしていた。
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