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雨が好き
第37章 秋霖
「う・・・うん・・・」
私は言葉をつまらせる。
それでも、なんとか普通にしなきゃと・・・
そうしなきゃと思った。

「ご、ごめんなさい。
 雨で、遅くなっちゃって・・・
 あ、えと・・・クッキー持ってきたの
 それから、あと、カフェラテ」

持ってきた包みを開く。

「ありがとう。一緒に食べよう」

蒼人さんと一緒にクッキーを食べる。
でも、あまり、話ができなかった。

雨の音ばかりが耳についた。

そして、この時、私は気が付かなかった。
病室の私達の様子を、廊下から窺っている人の存在に。

その影が、そっと廊下の向こうに消えていったことに。
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