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雨が好き
第40章 夜の公園
ふたりで、ぼんやりと吹き上がる水を眺めていた。

「昨日さ、蒼人、病室で泣いてたよね」

そう言った水際さんの方を見る。
彼女は顔をまっすぐ向けたままだった。

「あれ・・・まだ吹っ切れてないんだ。
 栞さんのこと」

トクン、と心臓が鳴る。

栞さん・・・多分、前の彼女
死んでしまった、蒼人さんの想い人の名前・・・

「ごめんね、昨日、私、見ちゃったんだ。
 蒼人さ、雨が降るとダメで、
 今でもやっぱり、ああなっちゃう。
 前は、もっともっとひどかった。
 栞さんが死んで、1年くらいは、全然ダメで
 お母さんも心配していた。
 もちろん私も。」

でも、最近、元気になって、
よかったねって言ってたんだ・・・。

「それで、ああ、大丈夫だなと思ったんだけど、
 昨日、やっぱりあんな顔してて。
 それで、みなとちゃん、悲しそうだったから」

昨日、蒼人さんの病室でのことを、
水際さんは見ていたんだ。

それで・・・心配して?
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