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雨が好き
第50章 帰り道
蒼人さんが立ち上がる。片松葉杖で、歩きにくそうだ。
「だ・・・大丈夫だよ」
本当は、送ってほしいけど、松葉杖、大変そうだから。
そう思って、私は断ったのだけど、

「やった!送って送って!!」
水際さんは嬉しそうにバンザイしていた。

結局、3人でゆっくり歩いて帰ることになった。

蒼人さんと、水際さんは、私が住んでいる場所からは一駅離れたところにいる。
田舎のひと駅はとてもじゃないけど歩ける距離じゃない。

だから、私を送っていくということは、蒼人さんに電車に乗ってもらうことになるわけで、それはなんだかとても申し訳なかった。

そして、問題がもうひとつ。

「じゃあな・・・明日、仕事頑張れよ」
水際さんのマンションの下で、蒼人さんがバイバイをする。

そう、蒼人さんの家から駅までの道すがらに、水際さんの住んでいるマンションがある。

多分、本当は、選択肢はふたつあって、
こうして、水際さんとバイバイしてから、蒼人さんと私とで『みなと町』まで行く方法。
もうひとつは、3人で『みなと町』まで一緒に行って、そこで私がバイバイして、蒼人さんと水際さんで水際さんの家まで一緒に行く方法。

蒼人さんは、迷わず、最初の方法を取った。
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