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雨が好き
第52章 雨の窓

「行ってきます」
お父さんに言って、『みなと町』の扉を開く。
パン、と傘を開くと、灰色の街に青空が咲く。
すごく・・・きれい。
蒼人さんからもらった傘は、折りたたみにしてはやっぱり少し大きめ。
私のための青空を持って、私は、蒼人さんの家に行く。
いつもは雨の中はゆっくり歩くのに、
なんでだろう、今日は、少し早足になってしまう。
そんな風に思ってはいない、と頭では思うのだけど、
私の身体はその全部で、あなたのもとに早く行きたいと、願っているみたい。
駅につき、電車に乗る。
シートに座り、
大切な、お届け物は
しっかりと抱えて。
平日のお昼だし、雨も降っているせいか、
電車は空いていた。
窓の外には灰色の雨。
雨滴が窓ガラスを斜めに流れて、どこかに散っていく。
蒼人さんも、この雨を見ているかもしれない。
あの家の、あの席で、
ぼんやりと、窓の外をながめて
もしかして、また、あの目をしているかもしれない。
遠くに行ってしまっているような、悲しい顔。
傘をかけてあげたい、と言ったけれど、
私で、本当に大丈夫なのかな・・・
自信、無いけれど、
全然、無いけれど。
でも・・・
お父さんが背中を押してくれて、
水際さんも、応援してくれて、
そして、
青空の傘があるから・・・
やっぱり、あなたのもとに、私は行きたい。
ぎゅっとリュックを抱きしめる。
お父さんに言って、『みなと町』の扉を開く。
パン、と傘を開くと、灰色の街に青空が咲く。
すごく・・・きれい。
蒼人さんからもらった傘は、折りたたみにしてはやっぱり少し大きめ。
私のための青空を持って、私は、蒼人さんの家に行く。
いつもは雨の中はゆっくり歩くのに、
なんでだろう、今日は、少し早足になってしまう。
そんな風に思ってはいない、と頭では思うのだけど、
私の身体はその全部で、あなたのもとに早く行きたいと、願っているみたい。
駅につき、電車に乗る。
シートに座り、
大切な、お届け物は
しっかりと抱えて。
平日のお昼だし、雨も降っているせいか、
電車は空いていた。
窓の外には灰色の雨。
雨滴が窓ガラスを斜めに流れて、どこかに散っていく。
蒼人さんも、この雨を見ているかもしれない。
あの家の、あの席で、
ぼんやりと、窓の外をながめて
もしかして、また、あの目をしているかもしれない。
遠くに行ってしまっているような、悲しい顔。
傘をかけてあげたい、と言ったけれど、
私で、本当に大丈夫なのかな・・・
自信、無いけれど、
全然、無いけれど。
でも・・・
お父さんが背中を押してくれて、
水際さんも、応援してくれて、
そして、
青空の傘があるから・・・
やっぱり、あなたのもとに、私は行きたい。
ぎゅっとリュックを抱きしめる。

