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雨が好き
第64章 桜
笹屋先輩は地元の大学の文学部に入ったという。
本が好きでさ・・・と頭を掻いていた。

「ちょっとだけ・・・歩かない?」
そういうや、僕の返事を待たず、笹屋先輩は手を引いて歩き出した。
校門を背にして右手に歩くと、校舎の塀沿いに桜並木が続いている。
卒業式のせいか、その細い道に入ってくる生徒はいなかった。

そこまで足早に手を引いてくると、笹屋先輩はやっと手を離してくれる。
「少しだけ・・・歩かない?」
もういちど。
僕らは、桜の舞い散る道を二人で歩く。
笹屋先輩が、少しだけ前を歩いていた。

「高槻くんは、将来何になる?」
後ろ手に卒業証書の入った筒を持って、前を向いたまま、そう聞いてきた。
「特に・・・まだ・・・」
将来どころか、どの大学に行くかもきめていない。
漠然と理系かな、と思っているだけだ。

「私はね、本を作る」
くるりと振り向いた。ふわりと、きれいな黒髪が桜の花びらを切るように弧を描いた。

「大学生になったら、考えてくれる?」
一瞬わからなかったが、すぐに、その意味するところはわかった。
彼女の目が真剣だった。
あの、渡り廊下の告白のとき、ちらりとだけ浮かんだ、真剣な眼差しだった。
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