この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
雨が好き
第65章 山茶花

私は、蒼人さんの手をその上からぎゅっと握っていた。
その手が、すごく冷たくて、びっくりする。
苦しまないで
どうか、どうか・・・
ここに、いるから
私、いるから
蒼人さん・・・
どれくらいそうしていただろうか。
蒼人さんの手が、少しだけ温まった頃、
ポロリと、涙が落ちた。
ぽろぽろ、ぽろぽろ
堰を切ったように。
我慢していた、全部、流すように。
「僕は・・・弱い・・・」
絞り出すような声。
そして、顔を上げた。
涙で、ぐしゃぐしゃになった、蒼人さんの顔。
初めて見る、彼の弱い所。
その目が、私を見る。
私の、私達の『今』に彼がちゃんといるのがわかった。
胸がいっぱいになった。
私の傍に、彼がいる。
戻ってきて・・・ちゃんと戻ってきて。
私は彼を抱きしめていた。
抱きしめた私の視線の先に、
山茶花が揺れていた。
その手が、すごく冷たくて、びっくりする。
苦しまないで
どうか、どうか・・・
ここに、いるから
私、いるから
蒼人さん・・・
どれくらいそうしていただろうか。
蒼人さんの手が、少しだけ温まった頃、
ポロリと、涙が落ちた。
ぽろぽろ、ぽろぽろ
堰を切ったように。
我慢していた、全部、流すように。
「僕は・・・弱い・・・」
絞り出すような声。
そして、顔を上げた。
涙で、ぐしゃぐしゃになった、蒼人さんの顔。
初めて見る、彼の弱い所。
その目が、私を見る。
私の、私達の『今』に彼がちゃんといるのがわかった。
胸がいっぱいになった。
私の傍に、彼がいる。
戻ってきて・・・ちゃんと戻ってきて。
私は彼を抱きしめていた。
抱きしめた私の視線の先に、
山茶花が揺れていた。

