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雨が好き
第65章 山茶花
「大学を辞めようかと悩んだときも、黙って僕の話を聞いてくれました。
 一緒にあれこれ就職の方法を探す手伝いをしてくれたりも。
 本当は怖かったけれど・・・怖かったけど」

そこで、しばらく、蒼人さんは黙ってしまった。

怖かったけど・・・決断した。
多分、それは、栞さんがいたから。
彼女と一緒に生きていけると、信じていたから。

胸が、とても苦しくなった。
なんでだろう。
本当に、本当に苦しい。

「だから、彼女を失ったとき、僕はまるで大地を失ったみたいに感じてしまった。
 どこに居ても、ふわふわしてて、現実感も何もなくて。
 水際に聞いたかもしれないけど、ずっと泣いていた。
 雨が降った時は、彼女の最期の言葉を思い出して、後悔で押しつぶされそうだった」

膝の上で、両の指を組んでいる。ぎゅっと握りしめていて、悲鳴を上げるように皮膚が赤くなっていた。俯いた視線が地面に落ちている。

蒼人さんの心。どこかに行ってる。
ぐるぐるここじゃないどこかを巡っていて・・・巡っていて・・・。

苦しそうにしている。
蒼人さんが・・・
蒼人さん・・・

私が怖い夢にうなされたとき、手を握ってくれた
汚れた私を、汚された私を、それでも抱きしめてくれた
知らない私、見たことのない景色、おひさまのような温かさを、
私に、いっぱい教えてくれた。

蒼人さん・・・
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