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雨が好き
第93章 悩みごと

映画を見た直後は、特に感じなかったし
むしろ、蒼人さんにもっと近づきたいと思っていたけれど
少し時間が経って
『ああいうこと』をリアルにイメージしたとき、
私は、身体が震えるのを感じた。
胸の内がすーっと冷えて
底しれない、暗い暗いどこかに落ちていきそうになる
そうして、はと気づいて、頭を振って
『今』に返ってくる
その繰り返しだった。
「みなとさん?」
また、ぼんやりしていた。
気にかけてくれている蒼人さん。
その気持が伝わるだけに、私はとても、辛くなった。
「あ・・・」
言いかけて、やっぱり口をつぐんでしまう。
どう言っていいか分からなかったし、
多分、これは私が一人で乗り越えなきゃいけないこと、だから。
ぬるくなったコーヒーのカップをぎゅっと両手で包み込むように握る。
ほんの数秒、沈黙が流れた後、
私の両手がふいに温かくなった。
蒼人さんの手が、私のそれを包んでくれていた。
「蒼人さん・・・?」
目を上げて、彼の顔を見る。
蒼人さんは、何も言わなかった。
優しいお顔で、
そして、そのまま何も言わないで、
私の手をただ、包んでくれていた。
むしろ、蒼人さんにもっと近づきたいと思っていたけれど
少し時間が経って
『ああいうこと』をリアルにイメージしたとき、
私は、身体が震えるのを感じた。
胸の内がすーっと冷えて
底しれない、暗い暗いどこかに落ちていきそうになる
そうして、はと気づいて、頭を振って
『今』に返ってくる
その繰り返しだった。
「みなとさん?」
また、ぼんやりしていた。
気にかけてくれている蒼人さん。
その気持が伝わるだけに、私はとても、辛くなった。
「あ・・・」
言いかけて、やっぱり口をつぐんでしまう。
どう言っていいか分からなかったし、
多分、これは私が一人で乗り越えなきゃいけないこと、だから。
ぬるくなったコーヒーのカップをぎゅっと両手で包み込むように握る。
ほんの数秒、沈黙が流れた後、
私の両手がふいに温かくなった。
蒼人さんの手が、私のそれを包んでくれていた。
「蒼人さん・・・?」
目を上げて、彼の顔を見る。
蒼人さんは、何も言わなかった。
優しいお顔で、
そして、そのまま何も言わないで、
私の手をただ、包んでくれていた。

