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雨が好き
第14章 夕立

「こっち」
蒼人さんが私の手を引く。神社の本殿のうらへ。
そして、雨が本降りになる前に、本殿裏の倉庫のようなところの軒先になんとか滑り込むことができた。
「大丈夫?」
たもとから手ぬぐいを取り出し、蒼人さんが私の髪の毛を拭いてくれる。
少し、濡れたけど、大丈夫だと思った。
蒼人さんは、雨、大丈夫かな?
ちらっと、蒼人さんの顔を伺った。悲しそうな顔をしていないか、ちょっとだけ気になった。
でも、どうやら心配しすぎだったみたい。
今日は、少なくとも、普通に・・・見える。
私の視線に気づいたのか、蒼人さんがこちらを見た。
「何かついてる?」
ついているわけじゃない。まじまじと顔を見られると恥ずかしかったので、顔をそらしてしまう。
「いや・・・あの・・・蒼人さん、雨、嫌いだから、大丈夫かなって・・・」
緊張のあまり変なことを言ってしまった。
蒼人さんの瞳が少しだけ開いて、そして、ふわっと笑った。
「顔に・・・出ちゃってたのか・・・。もしかして、初めて会った日も?」
初めて会った日、蒼人さんが泣いているところを見てしまった。
その事を言っているのだと思ったので、コクリとうなずいた。
うーん・・・と、蒼人さんは空を見上げる。
黒い雲からざあざあと雨が降り注ぐ。生暖かなシャワーのような夏の夕立。
「もう・・・4年も経つんだけどね・・・」
蒼人さんが、教えてくれた。
悲しい、悲しい、彼と雨との物語。
蒼人さんが私の手を引く。神社の本殿のうらへ。
そして、雨が本降りになる前に、本殿裏の倉庫のようなところの軒先になんとか滑り込むことができた。
「大丈夫?」
たもとから手ぬぐいを取り出し、蒼人さんが私の髪の毛を拭いてくれる。
少し、濡れたけど、大丈夫だと思った。
蒼人さんは、雨、大丈夫かな?
ちらっと、蒼人さんの顔を伺った。悲しそうな顔をしていないか、ちょっとだけ気になった。
でも、どうやら心配しすぎだったみたい。
今日は、少なくとも、普通に・・・見える。
私の視線に気づいたのか、蒼人さんがこちらを見た。
「何かついてる?」
ついているわけじゃない。まじまじと顔を見られると恥ずかしかったので、顔をそらしてしまう。
「いや・・・あの・・・蒼人さん、雨、嫌いだから、大丈夫かなって・・・」
緊張のあまり変なことを言ってしまった。
蒼人さんの瞳が少しだけ開いて、そして、ふわっと笑った。
「顔に・・・出ちゃってたのか・・・。もしかして、初めて会った日も?」
初めて会った日、蒼人さんが泣いているところを見てしまった。
その事を言っているのだと思ったので、コクリとうなずいた。
うーん・・・と、蒼人さんは空を見上げる。
黒い雲からざあざあと雨が降り注ぐ。生暖かなシャワーのような夏の夕立。
「もう・・・4年も経つんだけどね・・・」
蒼人さんが、教えてくれた。
悲しい、悲しい、彼と雨との物語。

