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雨が好き
第113章 帰りの電車
昨日から、あなたと過ごした時間
たくさんの忘れられない思い出
それが心の中からいっぱい、湧き出てきてしまって
もし、時間をぎゅっと掴んで止めることができるなら
今、止めてしまいたい。
そんなふうにすら思う。
それでも、私たちの旅行は終わってしまう
「さ、そろそろ、駅に行きましょう」
蒼人さんの手を取って、
自転車に乗って、駅を目指す。
レンタサイクルやさんに自転車を帰して
荷物をロッカーから出して、
ゆっくりと日が傾く軽井沢の駅舎から
もう一度、町を見て
心の中で、バイバイって・・・
ホームに新幹線が滑り込んできた。
予約している席
ふたり、並んだ座席。
窓の外のホームがゆっくりと後ずさって
緑の景色が遠くに流れていく。
「みなとさん・・・疲れたでしょう?」
蒼人さんが声をかけてくれたので、
繋いだ左手にキュッと力を込める。
「ううん・・・大丈夫
大丈夫だけど・・・」
「だけど・・・?」
「うん、また来たい」
「うん、僕も」
「本当はね・・・」
本当は、帰りたくないんだって言いたかったけれども
それはなんとなく恥ずかしくって
代わりに私は、こん、と蒼人さんの胸に頭を寄せた。
「ううん・・・なんでも・・・なんでもないんです」
たくさんの忘れられない思い出
それが心の中からいっぱい、湧き出てきてしまって
もし、時間をぎゅっと掴んで止めることができるなら
今、止めてしまいたい。
そんなふうにすら思う。
それでも、私たちの旅行は終わってしまう
「さ、そろそろ、駅に行きましょう」
蒼人さんの手を取って、
自転車に乗って、駅を目指す。
レンタサイクルやさんに自転車を帰して
荷物をロッカーから出して、
ゆっくりと日が傾く軽井沢の駅舎から
もう一度、町を見て
心の中で、バイバイって・・・
ホームに新幹線が滑り込んできた。
予約している席
ふたり、並んだ座席。
窓の外のホームがゆっくりと後ずさって
緑の景色が遠くに流れていく。
「みなとさん・・・疲れたでしょう?」
蒼人さんが声をかけてくれたので、
繋いだ左手にキュッと力を込める。
「ううん・・・大丈夫
大丈夫だけど・・・」
「だけど・・・?」
「うん、また来たい」
「うん、僕も」
「本当はね・・・」
本当は、帰りたくないんだって言いたかったけれども
それはなんとなく恥ずかしくって
代わりに私は、こん、と蒼人さんの胸に頭を寄せた。
「ううん・・・なんでも・・・なんでもないんです」

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