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雨が好き
第114章 初夏の空
空が真っ青に晴れ上がっている。
もう、初夏と言ってもいいのかもしれない。
陽の光が木の葉に当たって地面にくっきりとした影を刻む。
時折、吹き抜ける風が若葉の匂いを運んできて心地が良かった。

街を歩いていると近所のお家の塀の上で、三毛猫がまどろんでいた。

あ、ネコちゃん、かわいいな。
撫でたらあったかいかな

猫のひたいを撫でた時の優しい温かさを思ったとき、
どうしてか、心の中に蒼人さんが浮かんできてしまう。

途端に、ぎゅっと私は胸を押さえる。
塀の上の三毛猫が、不思議そうに、私を見ていた。

そう・・・ここの所、私はとてもおかしい。

朝食を食べ終わって、少しぼんやりしたときや
『みなと町』でコーヒーを淹れているふとしたとき。
お風呂に入って、体が温まったときとか、
おふとんに入ってまどろみかけて、ちょっと寝返りを打ったときとか。

フッて、蒼人さんが心の中に浮かんでくる。
そして、たまらなく胸が苦しくなってしまうのだ。
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