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雨が好き
第115章 長電話
ふ・・・ってちょっと電話の向こうで蒼人さんの笑い声にも似た吐息が聞こえた気がした。
そして・・・

「僕も、声が聞きたかった」

耳元で囁くように言われて、
嬉しくて、目を閉じてしまう。

「みなとさんからかけてくれて、嬉しいよ」

その言葉だけで、なんだかぎゅっと抱きしめられているような感じになった。

「う・・・ん・・・すごく・・・会いたいの」
言葉が自然にでてくる。
「うん、僕も」
蒼人さんも、そう言ってくれる。

でも、もう時間が遅くて、蒼人さんは明日も早くて。
私が蒼人さんの家に行くわけにもいかないし、
蒼人さんに来てもらったら、とてもとても蒼人さんを疲れさせてしまう。

それは、よく分かっていた。

だから・・・

「いつ・・・会える?」
「うん、明日・・・仕事頑張って、早く終わらせて、『みなと町』に」
「明日?」
「うん、明日なら」
「6時くらい?」
「うん、頑張る」

本当は、無理しないで、って言いたいけれども
でも、でも・・・一秒でも早く来てほしくて、だから、そう言えなくて・・・

「お願い」

と、私は言っていた。
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