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雨が好き
第116章 抱擁
「みなと、『Close』の札を掛けておくれ・・・
 それと、高槻くん、もしよかったうちで夕飯を食べてかないか?」

私はぱっとお父さんの方を見る。
ついで蒼人さんの方、
また、お父さんの方。

お父さんは、うん、とひとつ頷いて笑ってくれていた。

「あ・・・あの、遅くならないように・・・するから」

おずおずと声を掛けると、蒼人さんも頷いてくれた。

いつも、夕飯はお店を片付けてから、
お二階でお父さんと食べるのだけど、
今日は特別。

ワンプレートにレタス、アスパラ、トマト、それからライムをあしらって、
丸く盛り付けたご飯のサイドにピーマン、パプリカ、バジルと炒め合わせたひき肉を
最後に目玉焼きを載せて出来上がり。

『みなと町』特製のガパオライス・夕食バージョン
みなとはコーヒーを、と言われて、デミタスコーヒーを淹れる。

「ありがとうございます」

客席で向かい合って私と蒼人さん
お父さんは多分私に遠慮したのか、カウンター席で
それでも、一緒の空間で夕ご飯。

お話しながら、また楽しいひと時。

そして、食べ終わった頃には、8時を回ってしまっていた。
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