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雨が好き
第15章 病室

「あ・・・あの、私は、その、いつも、こうやって傘を持っていて・・・だから・・・雨が降ったら・・・傘を、かけてあげられるから・・・。だから、私は・・・。」
口をついて出た言葉は、まるで辻褄が合わなくって、私の言葉は小さくなって、雨音に消えてしまった。
何・・・言ってんだろ。私。
瞬間、ふわりと、身体を温かさが包みこんだ。
何が起こったか、理解するのに時間がかかる。
蒼人さんが、私を抱きしめてくれたのだと、分かるのに、多分5秒くらいかかった。
「え・・・あ・・・おとさん?」
身をかがめるようにして、彼から見たら少し小さめの私の体を抱きしめている。
耳元に、彼の唇。
その唇が、そっと動いた。
「誰かに、この雨を遮ってほしかった」
こんなに大きな身体の人なのに、それは、抱きしめるというより、すがりついているようにも感じられた。
だから、なんとかしてあげたくて、私も、ゆっくりと蒼人さんの身体に手を回した。
私で・・・いいのかな。
私は、あなたの傘に、なれるのかな?
鬼灯祭の夕暮れ、篠突く雨は、まだ、降り続いている。
口をついて出た言葉は、まるで辻褄が合わなくって、私の言葉は小さくなって、雨音に消えてしまった。
何・・・言ってんだろ。私。
瞬間、ふわりと、身体を温かさが包みこんだ。
何が起こったか、理解するのに時間がかかる。
蒼人さんが、私を抱きしめてくれたのだと、分かるのに、多分5秒くらいかかった。
「え・・・あ・・・おとさん?」
身をかがめるようにして、彼から見たら少し小さめの私の体を抱きしめている。
耳元に、彼の唇。
その唇が、そっと動いた。
「誰かに、この雨を遮ってほしかった」
こんなに大きな身体の人なのに、それは、抱きしめるというより、すがりついているようにも感じられた。
だから、なんとかしてあげたくて、私も、ゆっくりと蒼人さんの身体に手を回した。
私で・・・いいのかな。
私は、あなたの傘に、なれるのかな?
鬼灯祭の夕暮れ、篠突く雨は、まだ、降り続いている。

