この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
雨が好き
第118章 次の約束
彼が帰っていく。
私はそれを、『みなと町』の扉の前で見送っていた。
彼の背中が見えなくなった時、
夏の空気が、雲を呼んだのかもしれない、
ポツリと、頭にしずくを感じた。
「雨・・・?」
蒼人さん、傘、持っていなかった・・・?
雨粒を感じて、そう思った時、私はいても立ってもいられなくなる。
扉を開いて、お父さんに『ごめんね』と言って、
お父さんがなにかを言う前に、『みなと町』から走り出していた。
蒼人さんからもらった青空の傘をさして、
手には彼に貸すための傘を持って、
夜の町を駆けていた。
雨粒が大きくなってくる。
空気がこころなしか少し、ひんやりとする。
私は、できるだけ急ぎ足で、彼の背中を探す。
あ・・・
駅までもうすぐというところで、
蒼人さんの背中を見つける。
「蒼人さん!」
声を掛けると、彼は振り返って、
少し驚いたような顔をした。
「みなとさん」
追いついた私は、彼にそっと青空の傘を差し掛けた。
「雨・・・降ってきたから」
彼が私の傘を
青空を見上げるように見て、
そして、私を見つめて
本当に、優しく笑った。
「あの・・・これ、蒼人さんに使ってもらおうって思って・・・」
差し出した傘の柄を彼の大きな手が握る。
私はそれを、『みなと町』の扉の前で見送っていた。
彼の背中が見えなくなった時、
夏の空気が、雲を呼んだのかもしれない、
ポツリと、頭にしずくを感じた。
「雨・・・?」
蒼人さん、傘、持っていなかった・・・?
雨粒を感じて、そう思った時、私はいても立ってもいられなくなる。
扉を開いて、お父さんに『ごめんね』と言って、
お父さんがなにかを言う前に、『みなと町』から走り出していた。
蒼人さんからもらった青空の傘をさして、
手には彼に貸すための傘を持って、
夜の町を駆けていた。
雨粒が大きくなってくる。
空気がこころなしか少し、ひんやりとする。
私は、できるだけ急ぎ足で、彼の背中を探す。
あ・・・
駅までもうすぐというところで、
蒼人さんの背中を見つける。
「蒼人さん!」
声を掛けると、彼は振り返って、
少し驚いたような顔をした。
「みなとさん」
追いついた私は、彼にそっと青空の傘を差し掛けた。
「雨・・・降ってきたから」
彼が私の傘を
青空を見上げるように見て、
そして、私を見つめて
本当に、優しく笑った。
「あの・・・これ、蒼人さんに使ってもらおうって思って・・・」
差し出した傘の柄を彼の大きな手が握る。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


