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雨が好き
第26章 水平線
【水平線】

遊泳禁止の浜辺には、あまり人がいなかった。
皆、少し離れた海水浴場に行ってるみたい。

昼前の日差しが、ジリジリと砂を灼く。

私は日傘を差して
蒼人さんは、サングラスを掛けて

一緒に砂浜を歩いていた。

「来る所、こんなところでよかった?」
蒼人さんが遠慮がちに聞いてきたので、私は「もちろん」と答える。

こんなに夏がいっぱいのところ、他にない。

太陽の日差しが、何もかもをくっきりと浮かび上がらせる。
波頭が光輝き、
潮の匂いが空気に満ちていた。

「なんだか、すごく夏っぽい・・・」

だから、今あなたとここに来られて、よかった。

さくっと大きく盛り上がった砂山を踏みそうになり、バランスを崩してしまう。
おっと、と蒼人さんが支えてくれた。

そして、それを幸いに、その後、手を繋いでもらった。
実は、日傘をさして、手を繋いで歩くのは少し難しい。
でも、手をつなげることの嬉しさに比べれば、それは些細なことだった。
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