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雨が好き
第26章 水平線
大きな鳥が空で輪を描く。
口笛のような鳴き声がした。

こうしていると、お父さんがなんでお母さんを初めてのデートで海につれてきたのかがわかる気がする。

波の音、鳥の声、
あなたと私の時間に光があふれる。

立ち止まって、水平線近くをゆっくりと進む船を見る。
風が吹いてきた。
帽子が飛ばないように、手で押さえる。

こんな景色をお父さんと、お母さんも見たのかな?

「お父さんが、初めてお母さんをデートにつれてきたのも、海だったんですって」
なんの気無しに口から出た言葉。
「え?それって・・・」

言われて、はっとした。
蒼人さんを見ると、心なしか顔を赤らめている・・・気がする。
それを見て、私も頬が熱くなった。

慌てて視線を水平線に戻す。

「あ・・・えと・・・そういう・・・変な意味じゃなくて。お父さんがそう言っていたのを思い出して・・・」

わわわわわ・・・・。
なんだか、すごくすごく、積極的に迫っている・・・みたいに・・・。
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