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お題小説 labyrinth(心の迷宮)
第1章 ラビリンス(labyrinth)
 11

 すると彼はわたしを抱き寄せ…
「こ、こんなに何度も何度も興奮するなんて初めてで……」
 そう耳元で囁きながら唇を寄せてくる。

「あぁ、わ、わたしだって……」

 そう…
 夢もほぼ同じ…
 想いも同じ…
 今夜の興奮も、昂ぶりも、疼きも、そして欲情の想いも同じ…

 まるでひとつに…
 ううん、今夜初めて出会ったのに…
 たまたまバーでナンパされただけなのに…
 もうずぅっと前から知り合って、まるで付き合っていたかの様な以心伝心の如くに心が、いや、カラダも通じ合い…
 お互いを求めてしまう。

 いや、お互いが欲しくて欲しくて堪らなくなっていた…

 こんなことって初めてだ。

 わたしと彼は、お互いにそう想い、見つめ合い、そう心の中で言葉を交わし…

「あ、はぁぁ………」

 わたしは三たび彼に身を任せていく…

 また、いや、もうカラダも心も蕩けて、溶ろけて、融ろけて崩れて流れていきそうになっていた。

「ん、んん…」
 彼の唇と舌先が、わたしの耳元からうなじへと這ってくる。

「ん、んん、はぁぁん…」
 わたしはそんな彼の唇と舌先の快感に震え、全身を粟だたせ…
 喘ぎを漏らしていく。

 そして彼はゆっくりとうなじから背中へと唇を這わせてくる…
 堪らない快感であった。

 奥深くが更に強く、ズキズキと愉悦の疼きを、愛の蜜を溢れさせてくる…

 やがてその唇が背中を……

「あっ、え、ええっ?」
 その時、彼の愛撫の唇が動きを止め、突然の驚きの声を、いや、叫びに近い声を漏らしたのだ。

「え、こ、これは、そ、そんなっ?」

 その彼の声は…
 愉悦から驚きへ、そして狼狽えの声音へと変わってくる。

「ま、まさか…」

 更に驚愕へ…

「ま、まさか、そ、そんなことは?」

 え、な、なに?

 なんなの?

「ね、ねぇ、これってぇ?」

 そして驚愕から疑惑へと………

「え、な、なに?」


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