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お題小説 labyrinth(心の迷宮)
第1章 ラビリンス(labyrinth)
 12

「ね、ねぇ、これってぇ?」

 彼が戸惑いの声を漏らし、そして驚愕から疑惑へと………

「え、な、なに?」

「こ、コレは?」

 そして… 
 彼の指先がわたしの背中のある場所を指して問うてきた。

「あ、ねぇ、こ、コレってぇ?」

「え、そ、それは…」
 わたしはその指先の触れた感触で、彼の疑問の意味が分かったのだ。

「あぁ、うん、それは…ホクロよ、ホクロ…
 祖母曰く、珍しいホクロみたいでさぁ、なんか『幸福ホクロ』っていうみたいなのよ…
 『幸福…』なんてさぁ、皮肉よねぇ…」
 と、わたしが苦笑いをしながら応えた刹那…
 彼は自らをクルッと回し、わたしに背中を見せてきたのだ。


「ええっ、うっ、うそぉっ……………」
 
 今度はわたしが絶句してしまった…

 なぜならその彼の背中にも同じホクロがあるからである。

 その通称『幸福ホクロ』とは…
 わたしの背中の腰部の背筋よりやや右側上にある、500円硬貨よりひと回り大き目なホクロの事を指して云うらしいのだ。

 なぜそう云うらしいのかとは、その通称というか、言い伝えは祖母からのみに聞いた話しであるから…
 嘘か真かの真偽のほどは分からないが、小さな頃から祖母にそう云われてきていたからなのだ。

 そして事実、そのホクロは本当に珍しいらしく、子供の時分から現在に至るまで…
 これと同じ様なホクロを見たことがなかったのだ。

 だが…

「えぇっ、う、うそっ…」
 同じホクロが目の前にいる。

 しかも彼のそのホクロはわたしとは反対側の左側上にあるのだ…
 そう正にその位置は線対称、つまりシンメトリックな場所にあった。

「う、うそみたい…」

 わたしの今日までの28年間の人生の中で、同じ、いや、それに近い似た様なホクロでさえ見たことがなかったのに。

 なのに同じホクロが…
 通称『幸福ホクロ』が目の前に存在しているのだ。

 今までの28年の人生の間で、一度だって見たことがなかったのに…
 
「オレも今までで自分と同じホクロを見たことがなかったよ」
 そう彼は、ボソッと呟き…

「ホント、今まででキミが初めてだよ…」
 そして、目を丸くして言ってきた。

 


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