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東京帝大生御下宿「西片向陽館」秘話~女中たちの献身ご奉仕
第2章 女中 良枝

 その夜、良枝は、一つ布団の中で笠井に添い寝しながら、風呂での出来事と、笠井の優しい言葉を思い出し、<体も未熟で、お床の所作も拙(つたな)く、ずっと不安に思ってきたが、今夜のように、出来ることを一所懸命にやっていけば、何とかこの「西片向陽館」で女中を勤めていけるのでは>と、少し自信めいた気持ちも感じながら、眠りについた。

 そして、いつものように、夜明け前になると静かに布団を出て、女中部屋に戻って身繕いし、<かまど>の火起こしに取り掛かるのだった。

(第2話 了)
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