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第2章 女中　良枝

　笠井は、予期しなかった強い快感に、良枝の体を貪（むさぼ）り続けたい欲情にかられたが、頭の隅に＜この娘（こ）を幸乃から預かった＞という理性が働き、良枝の体の負担に思い至って、射精しないまま短い時間で挿入を解いた。そして、初体験の印がついた腰巻をそっと巻き直してやってから、　「良枝ちゃん。なかなか、良い具合じゃぞ。これじゃったら、行き届いた奉仕のできる、立派な女中になれるけえ、安心しんさい。今日はここまでにしようかの。」　と声を掛けた。

　良枝は、少し目を潤ませながら、ぎこちなく座布団から起き上がり、薄い胸を見せたままの腰巻姿で正座し、　「優しくしていただいて、有難う存じます。」　と、殊勝な挨拶をした。笠井は、笠井に背を向けて畳の上の襦袢と綿紬を引き寄せている良枝の心情を察して、丹前の身繕いをしながら、　「わしは風呂に入るで、今夜は、もう部屋にお戻り。」　と声を掛けてから、良枝を残して部屋を出た。

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